太鼓の達人 公式ブログ

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譜面紹介「激運!七福ハッピークルー」編

うどんは飲み物!

うどん県出身の譜面ジャーヤマグチです、みなさんこんにちは!

最近ドンドンと暑くなってきていますので、

早くも夏バテ気味なってしまった方は、冷たいうどんでさっぱりしてくださいネ!

 

さて夏といえば、ごほうびショップが「イエローVer.夏」に切り替わり、

みなさんは新しいごほうびを続々とゲットしているところでしょうカッ?

 

今回の記事は「イエローVer.夏」でゲットできる楽曲の譜面について、

譜面を制作した譜面ジャーから譜面の紹介をしてもらおうと思います!!

譜面の紹介については、今後数回に分けて本ブログでお伝えする予定でして、

第1回目の紹介は「激運!七福ハッピークルー」になります!

 

それでは、まりもさんよろしく~!


こんにちは。

まりもです。

ドコってますか?

 

ひとつの記事でまるまる一曲の譜面紹介をしてもいいよ、というありがたい機会をもらえましたので、紙面の都合上「譜面制作よもやま話」ではできなかった、ちょっぴりディープな領域に踏み込んだお話をしていきたいと思います。

 

というわけで今回は、私が譜面制作を担当した「激運!七福ハッピークルー」を題材として、音符の「音楽的な配置」と「ゲーム的な配置」というお話をしていきますね~。

 

視聴動画を貼りつけておきましたので、まだ楽曲を聴いたことがない方は一度聴いてみてくださいね。

 

 

【「音楽的な配置」と「ゲーム的な配置」】

 

譜面を制作するとき、私は大きくふたつに分けた考えかたで音符を配置しています。

それぞれ「音楽的な配置」と「ゲーム的な配置」と名づけています。

 

細かいことを言い出すと、さらに細分化できたり、例外などもたくさんありますが、わかりやすいように大きくふたつに単純化してお話を進めたいと思います。

 

また、譜面ジャーによっては、まったく別の考えかたのもとに音符を配置する人もいるかもしれません。

あくまで私が譜面を制作する上での考えかた、ですので、あしからず。

 

では、ざっくりとですが、それぞれ説明していきますね。

 

「音楽的な配置」とは

 

楽曲を構成している楽器や歌が音を出しているタイミングに合わせて音符を配置する、いわゆる「音を取る」が「音楽的な配置」です。

 

歌が印象的な楽曲だから、歌に合わせて音を取ろう。

ドラムが激しい楽曲だから、ドラムの音を取ろう。

 

この場合はとてもシンプルな解釈となり、しっかりと音を取った場合、どんな譜面ジャーが音符を配置してもだいたい似たような配置になるはずです。

かぎりなく正解に近い配置がある、とも言えるかもしれません。

 

とはいえ、歌も取りたいけど、ドラムもいい感じに盛り上がっている! どっちも取りたい! そんなシーンは山ほどあります。

 

そんなとき、歌を取る、ドラムを取る、歌とドラムの合わせ取りをする、などなど、いろいろな解釈があり、その解釈が人それぞれでちがうからこそ、担当する譜面ジャーそれぞれの個性的な音符の配置ができあがるわけです。

 

※そもそも「音を取る」ではなく、「太鼓のドンカツ音を、その楽曲を構成する楽器のひとつと見立てて、何も音が鳴っていない場所にも(音楽的な解釈として)音符を配置する」という、マスブチさん譜面に特徴的な考えかたもありますね。

 

「ゲーム的な配置」とは

 

さきにお話しした「音楽的な配置」の考えかたで譜面を制作した場合、たしかに楽曲とは合っていて、リズムに乗ってたたけはするのですが、よく言えば「正統派譜面」、悪く言えば「平凡な譜面」止まりになりがちです。

 

太鼓の達人はあくまで「ゲーム」、「和太鼓リズムゲーム」ですので、「ゲームとして面白いこと」すなわち「ゲーム的な配置」をさらに加えていくことで、楽しくもやりごたえのある譜面がようやく完成する、と思っています。

 

「ゲーム的な配置」では、ときには楽曲の構成要素に合わせないことも選択肢として取りえます。

もちろん、あまりにも楽曲に合っていないと「なにこれ、楽しくないよ!」になってしまいますので、そこは慎重に調整をかさねます。

 

実例を見てもらったほうが早いと思いますので、このあと説明していきますね。

 

【「激運!七福ハッピークルー」の「ゲーム的な配置」】

 

それでは、長々と前置きがありましたが、本題。

 

「激運!七福ハッピークルー」の「おに」譜面において「ゲーム的な配置」を選択したポイントをいくつか紹介していきますね。

 

※文中の小節番号は「特訓モード」時のものです。

 

24小節目(26小節目、28小節目なども)

 

 

このあたりはシンセのメロディが印象的ですね。

なので基本的にはシンセのメロディラインをなぞるように音符を配置しています。

でも、ここの24小節目の1拍目アタマにある カッ が置いてあるタイミング(上の譜面画像の矢印部分)では、シンセは鳴っていません。

(鳴っていないというよりは、直前の発音が伸びているところですね)

 

なぜ、鳴っていないところに音符を置いてあるのでしょうか。

 

すこし話がそれますが、この譜面のコンセプト(全体的な方針)は、

「ひたすらアゲアゲでハッピーな曲調にノってノってノりまくれるように、ノリと勢いだけでノンストップでたたき続ける! こまけぇことはいいんだよ!!」

というものです(ふざけているようですが真面目です)。

 

さておき、シンセのメロディラインを忠実になぞると、24小節目の1拍目アタマには、なにも配置しない、が正解です。

 

 

こうなりますね。

しかし、こうすると、たたく腕がそこで止まる(リセットされる)ことになり、コンセプトであるノンストップ感もそこでいったん途切れてしまいます。

ここのメロディラインは、2小節でひとかたまりのフレーズという解釈ができますので、なおさら途中で切ってしまうのはよくないなと感じました。

 

ですので、コンセプトを重視した結果、ここでは「ゲーム的な配置」を選択し、1拍目アタマには カッ を配置することにしました。

 

35~38小節目

 

 

七福神コールのゾーンですね。

 

紅一点の弁天のみ 大ドン で、男性陣は 大カッ という色分けネタも見られますが、お話したいのはそこではなくて。

 

この楽曲の基本リズムは、表拍にバスドラムが鳴っている、いわゆる「4つ打ち」と呼ばれるものです。

4つ打ちを太鼓の譜面に落とし込むときには、バスドラムに ドン を合わせる、という手法が定番ですね。

この譜面でもかなりの部分でそれが取り入れられています。

 

ところが、35~38小節目を見ると、バスドラムが基本4つ打ちで鳴っているにもかかわらず、ドン が裏拍に置かれていますね。

 

そう選択した理由は、ちょっと感覚的なお話で説明しづらいのですが、 大カッ(大ドン) の前後に隣接する ドン を置くことで、大カッ(大ドン) がより際立つ、勢いをつけてたたける、という感触がありました。

 

また、ドン 大カッ ドカッ と、ドンカツが交互に来るひとかたまりのフレーズになるので、右腕はつねに ドン 、左腕はつねに カッ をたたき続ければいい、でも一か所だけひっかけ(弁天)があるよ気をつけて、というアクセントゾーンにもなるな、と考えました。

 

 

まさしく「ゲーム的な配置」の考えかたですね。

(最初だけ左腕から入る必要がありますが、そこは仕方なしです)

 

では、このゾーンを「音楽的な配置」に忠実に、バスドラムに ドン を合わせ、コールを 大カッ(大ドン) とカッで合わせるかたちで、たとえばこんな配置にしてみるとします。

 

 

どうでしょうか。

カカドン をたたいたあとの間で、勢いが落ちそうな感じがしませんか?

また、 カッ が多めで、たまに ドン に降りてくる、という腕の動きは、うわずった感じの不安定さがあり、実際にたたくと、ガクッ、ガクッとした印象になると思います。

これではコンセプトから外れてしまいます。

なので、この選択肢はないな~、と判断しました。

 

53~54小節目

 

 

楽曲の盛り上がりがいったん落ちついて、そしてまた次第にアガっていくゾーンの最後の部分ですね。

 

53小節目では「音楽的な解釈」として歌に合わせた配置をしていますが、54小節目の1~3拍目のドンカツの組み合わせは、歌合わせでもドラム合わせでもない、ちょっと変な配置になっていますね。

素直に「音楽的な解釈」をすると ドン カカドン カカドン などになると思います。

 

 

こんな感じですね。

 

では、なぜ54小節目が変な配置になっているのかというと、ヒントは53小節目にあります。

 

53小節目も54小節目も、よく見ると ドカカド のパターンのくりかえしになっています。

そして、パターンはそのままで、間隔が8分音符から16分音符に変化しています。

 

両腕を左右交互に動かしてこのゾーンをたたくと、その両腕は「8」の字を逆順で描くような、ぐるぐるとした動きになりますね。

そのぐるぐるな動きをスピードを上げながらくりかえすことで、このゾーンの直後にあるサビの盛り上がりに向かっての、腕ならしと勢いづけになるといいな~、と考え、このような「ゲーム的な配置」を選択しました。

 

 

おそらくここが、この譜面での「ゲーム的な配置」がもっとも表れているポイントだと思います。

 

ちなみに、 ドドカカ ではなく ドカカド なのがキモです。

あえて少しクセのある ドカカド にすることで、腕のぐるぐる感がより強くなるように、という狙いがあります。

 

余談ですが、これと同じようなことを、私が譜面を担当した「ウルトラマンX(おに裏)」の冒頭と最後でもしていますね。

(カドカ / カドカ / カドカ ……のくりかえし)

 

【おわりに】

 

いかがでしたでしょうか。

たいぶ感覚的なお話も多いので、すっきりと理解してもらうのはちょっと難しいかもしれませんが、譜面っていろいろ細かいところまで考えられているんだな~、と少しでも思ってもらえたらうれしいです。

 

おまけで、私が譜面を担当した最近の楽曲一覧をのせておきますね。

 

・バトル-電光石火-

・ブラッドサーキュレーター

・竜と黒炎の姫君(裏含む)

・Swan

・「ポケットモンスター サン・ムーン」メドレー

・全力バタンキュー

・GO

・ロードムービー

 

そうそう、今日お話しした「音符の配置」の考えかたについては、「太鼓の達人 開発日記(ブログ)」に掲載されている、エトウさんによる譜面講座の記事でも触れられていますので、そちらも合わせて見てみると興味深いと思いますよ。

 

・エトウによる太鼓の達人の譜面講座【基礎編】

 

・エトウによる太鼓の達人の譜面講座【楽曲編】

 

それでは、またね~。

 


 

はい!まりもさん、ありがとうございました!!

 

「音楽的な配置」と「ゲーム的な配置」というふたつの考え方からの譜面制作・・・!!!

いやー、深いですね!

「音楽的な配置」は、恐らく全ての譜面ジャーが気にする部分であり、

まりもさんも触れている通り、どういったフレーズを採用するかというところで、

譜面ジャーの個性が強く出るところかなと思っています。

 

そこからどういった「味付け」をするかで、

譜面の構成が変わってきますが、その「味付け」のひとつとして「ゲーム的な配置」というものがありそうですね。

ヤマグチ自身も「音楽的な配置」と「ゲーム的な配置」に悩まされる日々です。

 

といったところで、今回はここまで!

まだ「激運!七福ハッピークルー」をゲットしていない方も、すでにゲットしている方も、

今回の紹介に目を通してからプレイして頂くと、

まりもさんの意図を強く感じることができるのではないかなと思いますので、

ぜひぜひプレイしてみてくださいね!

 

それでは次回をお楽しみに♪

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